この7月28日より公開されている、「軽井沢タリアセン」内に移築復元された旧朝吹山荘「睡鳩荘(すいきゅうそう)」を、軽井沢観光協会会長の藤巻進さん(タリアセン取締役)のご案内で、ゆっくりと観てまいりました。
「睡鳩荘」は大正期の実業家・朝吹常吉氏の軽井沢山荘で、二手橋さきの段丘に昭和6年(1931)、米国の建築家ヴォーリズの設計で建てられた最上質の建物のひとつです。
暖炉上の壁の飾りは「馬かもしかの頭は、蜂須賀侯爵がアフリカで狩猟されたもの」とあります。
(「私の軽井沢物語」朝吹登水子・著より)
朝吹家長女といえば、作家でフランス文学の翻訳家の朝吹登水子さん(1917~2005)です。
フランソワーズ・サガンのデビュー作「悲しみよこんにちわ」からずっとサガンの翻訳をされ、また、ヴォーボワール(作家・哲学者)の翻訳家としても有名です。
お父上の常吉氏より山荘を引き継がれ、多くの文化人のサロンになったそうです。

リビングホールにある大型の石積暖炉。
浅間石のアーチ。その上のどっしりとした木製の棚。
建築家ヴォーリズにとっての暖炉は、日本の和室の床の間のような存在だったらしいのです。
太い梁を渡した天井の、このやわらかい灯りのもと、
聞こえてくるのは、暖炉の薪の時おりはぜる音と、風の音だったんでしょうか。
ヴォーリズといえば、階段だそうです。
幅広の面積がとられ、緩やかなのが特徴。
何ともいえず美しくて品のある階段なのです。
自然とのぼっていきたくなるような、設計上の工夫がされています。

2階にはいくつか部屋があり、奥の部屋はテラスがあり明るく開かれています。
元もとの場所は矢ヶ崎川沿いでしたが、今はタリアセンの塩沢湖が眺められます。
外国の避暑地のような景色です。

各部屋のドアノブはクリスタル。
プラスティックではありません。
窓は分銅を仕込んだ上げ下げ式。
そんな風に、そこかしこに当時の外国製の細工がほどこされています。
1階部分のテラス。ここで読書をしたり、朝吹登水子ご夫妻でティータイムを楽しんだり...そういう雰囲気です。
ヴォーリズは睡鳩荘だけではなく、軽井沢のなかで多くの素晴らしい西洋建築を残しました。
ほかの建物については、秋の紅葉の景色でもご紹介しながら、またアップしましょうね。
「軽井沢タリアセン」は、ホテル中軽井沢からお車で数分。3~4キロの距離なのでサイクリングでも行かれます。 www.karuizawataliesin.com
また7月19日(土)~9月10日(水)まで、軽井沢町歴史民俗資料館(0267-42-6334・離れ山麓)では、
「ウィリアム・メレル・ヴォーリズ展~理想の居場所をつくる~」と題して、特別企画展が開かれています。
明治・大正・昭和の軽井沢避暑地をつくったヴォーリズの資料が多く展示されています。
8月31日(日)13:30からは資料館で、上記企画のイベントとして、
「軽井沢のヴォーリズをめぐる散策会」(定員になり次第〆切り)が催されるそうです。
避暑地・軽井沢のイメージがどのように作られてきたか、ご自分で歩きながら観て感じるのも、
また軽井沢の遊び方なんですね~。